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書評「胃外科」
安富 正幸
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1近畿大学第1外科
pp.796
発行日 1997年5月25日
Published Date 1997/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105140
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わが国では外科医の大部分は消化器外科に関係し,その中でも最も多いのが胃の外科である.その意味で胃外科は消化器外科の中心であり,基本だと言うことができる.日本の胃外科は国際的に見ても最も進んだ外科である.まさに胃外科に引っ張られて日本の消化器外科が発達してきたのである.このように胃外科が進歩した理由はわが国では胃外科の対象となる疾患,特に胃癌が多かったからであるが,胃外科の先達のたゆみない研鑽と,それを引き継いだ現在の指導者の研究の賜物であろう.これらの指導者の執筆による胃外科が上梓された.本書は胃外科の指導者による集大成である.
胃外科の中心である胃癌は,診断・治療の進歩により根治率が著しく高くなり生存率が改善したが,依然として癌死亡の第1位である.また胃潰瘍は薬物療法の進歩により手術数は減少したにもかかわらず,穿孔・狭窄など最も重要な外科的疾患の1つである.胃癌の手術は消化器のみならず癌外科の基本であり,胃癌の外科の考え方や手技が癌外科全般の発展をもたらしてきた.したがって胃癌外科の歴史や手技を習得することから消化器外科ひいては外科一般の手術を理解することができる.
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