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書評 上肢の画像診断
江原 茂
1
1岩手医科大学・放射線医学講座
pp.780
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200884
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岡本嘉一(筑波大学医学医療系臨床医学域・放射線診断学)・橘川 薫(聖マリアンナ医科大学・放射線医学講座)の両氏による上肢の画像診断の教科書が上梓された.上肢の関節の画像診断については,肩関節を扱った教科書はすでに内外にみられるが,このユニークな書籍は上肢でも肩を除いたより末梢の上腕から手までを扱っている.上肢の画像診断に関する先行書籍にはさらにChung & SteinbachのMRI of the Upper Extremity(2010年,Wolters Kluwer/LWW)がある.MRIを扱っている点で類似していると思われるが,この肩も含めた書籍では,肘関節と手関節を疾患別でなく部位別に扱っている点でスタイルに違いがある.本書では題名は画像診断とあり,従来のX線検査やCTを解説に盛り込んでいるが,実際にはMRIに重点を置いていることは明らかで,先行する教科書に劣らないくらい画像診断の今日的な状況を色濃く反映している.
このユニークな書籍の従来の教科書との違いは内容にあり,解剖のアトラスに続く章ではスポーツ外傷や神経絞扼に始まり,残りの半分近くを外傷・腫瘍・関節炎といった骨・関節領域の基本的な領域をカテゴリー別に扱っている.特に内容の特徴としては著者のお一人である岡本氏が肘関節のスポーツ傷害に取り組んでこられた成果が十分に盛り込まれている.
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