リフレッシュ講座 食道検査・治療の基本・3
食道内視鏡検査の基本
吉田 操
1
1東京都立駒込病院外科
pp.653-657
発行日 1997年3月25日
Published Date 1997/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105113
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食道の疾患を疑うに足る症状を訴える患者には,極力内視鏡検査を計画すべきである.また,食道癌の早期発見は粘膜癌の発見が目標であり,その多くが無症状であることが判明している.機会があるごとに食道を観察すべきである.従来の食道鏡,胃内視鏡,あるいは十二指腸内視鏡検査などという区分けは不適当である.上部消化管の内視鏡検査は,精密診断の場合であっても,重点の置き方に差はあるにしろ,食道から十二指腸まで一通りはチェックしなくてはならない.
適応上,慎重を期すべき患者としては,腐蝕性食道炎の急性期にあるもの,食道穿孔の疑いのある症例,小児症例などである.これらは内視鏡検査により新たな合併症を生じる可能性がある.適応がある場合でも慎重に,できれば経験のある指導者の立ち会いを求めて実行するとよい.食道疾患以外に重篤な合併症を有する症例の場合なども,侵襲が小さく,検査精度の良い方法をできるだけ選択する.狭窄症状の明らかな場合は,食道内に貯溜物があることを予測し,内容物の逆流や嘔吐を生じた場合の注意を患者に与えることはもちろん,誤嚥しないような体位を採用することも大切である.検査中の患者の観察を厳重に行い,介助者に注意点と対応法を伝えておく.検査が患者にとって大きなマイナスとならないように配慮すべきである.
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