特集 消化管ポリポーシス2000
トピックス
家族性大腸腺腫症における遺伝子異常と形質発現
西庄 勇
1,2
,
三嶋 秀行
1
,
蓮池 康徳
1
,
藤谷 和正
1
,
沢村 敏郎
1
,
辛 栄成
1
,
武田 裕
1
,
辻仲 利政
1
,
吉川 宣輝
1
1国立大阪病院外科
2国立大阪病院臨床研究部
キーワード:
家族性大腸腺腫症
,
APC遺伝子
,
β-カテニン
,
E-カドヘリン
Keyword:
家族性大腸腺腫症
,
APC遺伝子
,
β-カテニン
,
E-カドヘリン
pp.378-382
発行日 2000年2月26日
Published Date 2000/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104817
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要旨 家族性大腸腺腫症(FAP)の原因となるAPC遺伝子変異の95%は,ナンセンス変異か塩基の挿入や欠失によるフレームシフト変異である.およそ310kDの巨大なAPC蛋白は,細胞質中のβ-カテニンを分解し,その量を調節することで癌抑制遺伝子として機能している.β-カテニンは細胞膜のE-カドヘリンとの結合を介して細胞間の接着を調節する以外に,ある種のシグナル伝達系において,核内で転写因子であるLEF-1/TCFと結合し,特定の遺伝子の転写活性を充進させている.変異APC蛋白はβ-カテニン量を減少させる機能を失っており,β-カテニン量の増加による転写因子の活性化と転写の充進を惹起し,腫瘍化に関与しているものと考えられる.
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