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編集後記
平田 一郎
pp.1860
発行日 2006年12月25日
Published Date 2006/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104338
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1978年,多田が大腸腫瘍に対して拡大内視鏡によるpit pattern分類を行った.その後,工藤らによって大腸の拡大内視鏡検査が普及し,現在,工藤のpit pattern分類が広く用いられている.本号では「大腸腫瘍に対する拡大内視鏡診断の最先端」というテーマで,興味深い有益な論文が多数寄せられた.そこには大腸腫瘍の拡大内視鏡診断における新しい知見と最近の動向が随所にちりばめられている.まず,以前より問題であったV型pit pattern診断について箱根シンポジウム,工藤班会議を経てVN型とVI型の再定義がなされ,次にVI型の亜分類として軽度不整,高度不整が取り決められた過程,その有用性と問題点が該当論文で詳細に論じられている.また,症例検討では10人の専門医が実際の症例のV型pit pattern診断(VI軽度不整,VI高度不整,VN)を行い,一致率が65%であったことは興味深い.再現性として決して良いとは言えないが,専門医が迷うような難しい症例が取り上げられていたことも影響しているであろう.さらに,大腸の拡大観察が計画的分割切除や,EMR後の微小局所遺残病変診断に応用され,その有用性を発揮している事実も述べられた.また,NBIを用いたpit pattern診断・微小血管構築診断や,病理組織レベルに迫る超拡大内視鏡など拡大観察の新しい方法の有用性や将来展望についても論じられ,本号を読めば大腸腫瘍の拡大内視鏡診断のup dateが十二分に理解できるようになっている.
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