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編集後記
斉藤 裕輔
pp.1318
発行日 2009年7月25日
Published Date 2009/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101727
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2005年に「大腸癌治療ガイドライン第1版」が発刊され,SM浸潤距離1,000μm未満が内視鏡治療の根治基準の1つとして取り上げられ4年が経過した.本ガイドラインにより一定の成果が挙がっているが,一方で現状における臨床・病理学的問題点が指摘されている.そこで,これらの問題を解決するために2009年7月に「大腸癌治療ガイドライン第2版」が出版される.本号では斉藤論文で改定ガイドラインにおける大腸SM癌内視鏡治療の変更点について解説した.また,第1版から問題となっていた根治基準に関する病理診断の問題点について,斉藤論文ではSM浸潤距離の実測について,江頭論文ではリンパ節転移における危険因子について,谷口論文および河内論文ではそれぞれ脈管侵襲と簇出について,河野論文では断端判定法について詳細に解説した.また,大倉論文ではSM浸潤距離計測の実際について,具体的な症例を用いて解説が加えられた.また,浦上論文および岡論文ではガイドライン第1版の根治基準における大腸SM癌内視鏡治療後の中期予後についての成績が提示され,膨大なデータからガイドラインにおける根治基準の妥当性が示された.本号には大腸SM癌内視鏡治療の根治基準の現状と問題点,将来へ向けての適応拡大に関する可能性についてのエッセンスが凝縮されており,明日からの日常診療における大腸SM癌内視鏡治療のストラテジー決定に十分役立つものと確信している.
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