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編集後記
斉藤 裕輔
pp.968
発行日 2005年5月25日
Published Date 2005/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104281
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本号はCrohn病(Crohn's disease ; CD)の初期病変であるアフタの鑑別,長期経過について特集した.日常診療上多く遭遇するアフタがどの病気と関連するかの診断は治療上大変重要な問題である.アフタのみから成るCDのアフタの特徴について他疾患,特に潰瘍性大腸炎に出現するアフタとある程度鑑別可能であることが,堺論文,松本論文で示され,また,アフタのみのCDの約半数が約3年の経過中に典型病変に進展することが平井論文,高木論文でも明らかとなった.丹羽論文ではCDの進展に伴うアフタの病理組織像の変化が示された.さらに中野論文ではアフタのみのCDに対してinfliximabが投与され,本治療がCDの自然史を変えうる可能性があることも示された.今後,これらの知見を基に,(1)アフタの鑑別のさらなる確立(特にUC初期病変との鑑別),(2)将来,CDの典型病変へと進展すると予測されるアフタの画像および病理組織学的特徴,(3)将来,CDの典型病変に進展しないと予測されるアフタに対する治療の是非,(4)将来,CDの典型病変に進展すると予測されるアフタに対する治療法(infliximab投与の是非についても),などが確立されることが重要と考えられる.
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