特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
c.病理・病変用語
de novo癌(de novo carcinoma)
中村 恭一
1
1東京医科歯科大学病理
pp.406
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104078
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大腸癌の組織発生において,adenoma-carcinoma sequenceの癌,つまり腺腫の癌化による癌に対して,直接大腸粘膜から発生した癌をcarcinoma de novoと呼んでいる.“de novo”とはラテン語で“初めから,あらたに”を意味する.現在,世界では一般的に大腸癌の組織発生“大腸癌のほとんどすべて(95~100%)は腺腫(=dysplasia)の癌化による癌である”が受容されている.更には,近年その学説に遺伝子変化が付加されて,大腸の癌化機序“mucosa→dysplasia(=adenoma)→carcinoma→metastasis”となっている.
しかし,adenoma-carcinoma sequence説は,癌組織診断基準“異型度著明なdysplasia腺管の粘膜下組織浸潤をもって癌と定義する”ということを前提として導かれたものである.そして,粘膜内に限局しているdysplasia病変(=腺腫)を,その異型度をもってmild,moderate,severeの3段階に区分し,たとえ異型度が明らかに癌であってもそれを粘膜内癌とはせずにsevere dysplasiaとしている.
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