特集 図説 胃と腸用語集2012
病理
SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)
八尾 隆史
1
1順天堂大学医学部人体病理病態学講座
pp.821
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113392
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従来,異型のない鋸歯状ポリープは過形成性ポリープ(hyperplastic polyp;HP)と呼ばれ,癌化の危険はほとんどない病変とされていた.1990年にはLongacreら1)により,鋸歯状構造を有する鋸歯状腺腫(serrated adenoma)という概念が提唱された.また,1996年にはTorlakovicらが癌を合併するHPの亜型を見い出し,2003年にマイクロサテライト不安定性を示す大腸癌の前駆病変としてSSA(sessile serrated adenoma)という名称を提案し2),新しい発癌経路serrated neoplastic pathwayが想定された.この病変は不規則な細胞異型と不整な構造を有する鋸歯状病変であるが,腫瘍性であることが不明確なため,atypical hyperplastic polypやsessile serrated polyp,sessile polyp with abnormal proliferationなどの名称でも報告されてきた.
このような変遷を経て,最新のWHO分類ではadenomaとpolypの両者を併記するSSA/P(SSA/polyp)という用語が用いられ,鋸歯状病変はHPとSSA/P,TSA(traditional serrated adenoma)に分類された3).
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