学会印象記
DDW-Japan 2000(第8回日本消化器関連学会週間)―食道に関するテーマを中心に
有馬 美和子
1
1埼玉県立がんセンター消化器科
pp.96
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103138
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20世紀最後の消化器病学合同会議としてDDW-Japanは10月25日~28日の4日間,神戸市で開催された.今回の新しい試みとして各研究者間の概念の統一,理解の均等化を目指して討議中心のコンセンサスミーティングが6題企画された.食道疾患を中心に筆者が聴くことのできた3つのコンセンサスミーティングについて印象を述べさせていただく.
第2日目の午前,コンセンサスミーティング1「EUS層構造の解釈」が行われた.EUSにあまり関心のない方は,なぜ今さら層構造なのかと疑問に思われるかもしれないが,20MHz細径超音波プローブが開発されて約10年が経過しようとしているにもかかわらず,臨床的な便利さが先に立って層構造の解釈は意見の統一が図られずに現在まで来てしまったのが現状である.食道・胃・大腸と,新たな実験データが持ち寄られて議論が戦わされた.従来7.5MHzでは5~7層に分解されるうちの第3層の高エコー層がsm層と言われてきたが,高周波数プローブではsm層が分離,解像され比較的低エコーに見えること,9層に描出されたうちの第3層の高エコー層内にmmが存在することなどについてコンセンサスが得られた.また,食道と胃と大腸では見え方が多少異なることが明らかとなった.同じ物を見ているのになぜこのようにも解釈の仕方が異なるのか,臨床的な事象を実験的に証明することの難しさを今さらながら痛感した.テーマがかなり限定されていたこともあって白熱したディスカッションとなり,最後には司会者采配が提案された.
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