Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
工藤(司会) それでは「大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか」という,今年最後の「胃と腸」の座談会を始めたいと思います.さて,大腸内視鏡診断の進歩は機種の進歩にかなり負っているところがあるわけですが,最近になって実体顕微鏡のpit patternを背景にした拡大内視鏡の進歩が臨床的に注目されていると思います.そのあたりを中心として座談会を始めさせていただきます.
pit pattern(腺口形態)の診断ですが,これは1960年代にRubinが小腸の実体顕微鏡で仕事をしたのが最初であります.そして胃のほうに日本の技術が随分応用されて,1967年にFGFMLという,町田製作所製の5倍の拡大内視鏡を使った研究があります.大腸では1977年,小林絢三先生(前大阪市立大学第3内科)がFGFMLで応用しています.1979年に多田正大先生(京都がん協会消化器科)がCFHM(オリンパス社製)というのを最初に使って,その後五十嵐正弘先生(北里大学内科),西澤護先生(東京都がん検診センター)たちが学会でどんどん発表してきたわけです.当時の拡大観察での診断というのは隆起性病変を中心としていたのですが,1990年ぐらいから,われわれがⅢS型pit patternと言っている表面型・陥凹型の表面構造がよくわかるようになって,現在のpit pattern分類につながっているわけです.そのpit patternの研究を背景として,今の拡大内視鏡のCF200Z(オリンパス社製)が8年前に新たな電子スコープとして世に出て,現在ではCF240Zという観察も挿入性も優れた拡大内視鏡が登場し,大腸の診断学がまさに変化しようとしています.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.