Coffee Break
内視鏡奮戦記(5)
武藤 徹一郎
1
1癌研究会附属病院
pp.1504
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102865
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5.ポリペクトミー事始め
Deyhle型スネアを購入したことは先回で述べた.このスネアを用いて誰がポリペクトミーを最初にやるのかは,皆の注目する所であったが,筆者にはイギリスでのライセンスがないので,残念ながらDr. Christopher Williamsが行うことに決まっていた.1972年と言えばもう1年の経験を積んでいて,両者の実力は伯仲していたので,どちらがやってもおかしくなかったのである.
症例はこれまたMr. Allan Parksの患者で,中年男性の小さなS状結腸ポリープ摘除をすることになった.初めてのことなので大事をとって患者は直前に入院し,施行日も決められ手術室も予約された直前に,Dr. Williams自身が腰痛で入院する羽目になってしまった.今更予定も変更できないので,Mr. Parksの監督と責任の下でということで筆者がポリペクトミーを行うことになった.数mmの小ポリープで,今なら簡単に済ますことができたであろうに,随分と時間をかけて汗をかきながら慎重に摘除したのを思い出す.とにかく第1例目は成功,これでまた新しい分野が開け,必要検査数が上昇することになった.ちなみに,これがイギリスでのポリペクトミー第1例であったと思う.慣れるにつれて大きなポリープにも挑戦し,3cmのポリープも摘除できるようになった.1973年にはこれらの経験をBritish Medical Journalに報告している.
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