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書評「大腸疾患診断の実際―Ⅱ腫瘍性疾患・消化管ポリポーシス〈第2版〉」
多田 正大
1
1京都第一赤十字病院第2内科
pp.184
発行日 1991年2月25日
Published Date 1991/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102459
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本書の著者である牛尾恭輔先生と私は同年代の仲間であると共に,氏には一目も二目も置いているライバルでもある.著者は次世代の消化器病学会を担うホープであるが,おそらく消化器病学を専攻する者で牛尾恭輔氏の名前を知らない者はいないであろうし,俊英並びいる国立がんセンターの中でもひときわ際立つ,市川平三郎,山田達哉門下生の俊才である.著者の卓越した大腸診断理論,それを支える腫瘍学,生物学,科学に対する造詣の深さと学問的展開は常に私達を魅了するところである.中でも癌発生とその成長・増殖についての生物学的立場からの理論は万人をうなずかせる説得力がある.
その牛尾先生が2年前に「大腸疾患診断の実際」上下2巻を刊行した際の快挙に,自分ごとのように喜び胸をときめかせながらインクの香りの新しいページを繰ったものであった.その不朽の名著がわずか2年目にして改訂されたとのこと,その理由を問い質すと,第1にこの書物の評判がよくて早くも第1刷を完売したこと,第2に完全主義者である著者の立場から,単に増刷するだけでなく旧版の気にかかる箇所を訂正すると共に,自らの考え方の進歩を徹底的に加筆したとのこと,何とも羨ましい話であるし,本を造ることに対する真摯な態度に脱帽するばかりである.
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