境界領域 転科のタイミング
家族性大腸ポリポーシス
今 充
1
,
小野 慶一
1
Mitsuru Konn
1
,
Keiichi Ono
1
1弘前大学医学部・第2外科
pp.342-346
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218914
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診断に家族歴が絶対条件であった家族性大腸ポリポーシスは,約100個の腺腫(ポリープではなく,それの組織診断である)があれば大腸腺腫症と診断できるようになった.すなわち家族性大腸ポリポーシスは大腸腺腫症と同義語であるということである.非家族性の大腸腺腫症の発生は発端者かあるいは家族歴の調査不備によると判断されている.
したがって,本症への手術適応はおのずから定かであり,20歳を過ぎて本症を発見したらただちに手術をすべき(emergency operation)とはっきり述べられている.にもかかわらず権威ある学会にて,大学のスタッフから患者云々ということで,経過観察をしているということを筆者自身も経験し,他からも見聞し大きな疑問に悩むわけである.どのようにして無数といっていいほど多数あるポリープの癌化をチェックできるのか.普遍性をもったと考えられる手術適応の時期についても,いまだいろいろな考えがあるようなので,本症の診断,外科治療の術式,癌化率,術後社会復帰の点などから外科転科のタイミング(本症では手術のタイミングとなる)につき論じたい.
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