胃と腸 図譜
十二指腸カルチノイド
芳野 純治
1
,
溝口 良順
2
1藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科
2藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院病理診断科
pp.96-98
発行日 2011年1月25日
Published Date 2011/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102112
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
1 概念,病態
消化管カルチノイドは粘膜深部の幼若内分泌細胞から発生し,早期に粘膜筋板を越えて粘膜下層に浸潤し,粘膜下腫瘍の形態を呈する.十二指腸カルチノイドの頻度は本邦では直腸(35.3%),胃(27.9%)に次いで13.8%と報告されている.臨床症状として下血がみられるが,偶然発見されることが多い.十二指腸カルチノイド897例を集計した報告3)によると,男 : 女=1.39 : 1,平均年齢 : 55.9(9~91)歳,発生部位は上部45.6%,下行部44.1%,乳頭部25.2%,下部1.7%である.平均の腫瘍径は17.7mm,深達度はM 3.6%,SM 62.9%,MP 16.3%,筋層を越えるもの17.9%である.転移は全体の27.4%にみられ,リンパ節転移が20.0%,肝転移が9.9%である.大きさと転移との関係は,大きさがわかる655例についてみると5mm以下10.6%,6~10mm 14.3%,11~20mm 26.3%,21~50mm 48.1%,50mm以上 66.7%である.また,カルチノイド症候群は3.1%にみられる.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.