文献抄録
十二指腸カルチノイドの臨床病理
山科 元章
1
1埼玉医大外科病理
pp.80
発行日 1987年1月20日
Published Date 1987/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209614
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Von Recklinghausen氏病は優性遺伝でひきおこされる家族性の神経外胚葉系疾患である.本症は近年,遺伝子欠損による発生段階の神経堤細胞の迷入・分化不全に基づいて発現するものと理解されている.臨床的には,本症の徴候には,カフェオレ斑や多発性神経線維腫がよく知られているが,その他に,発育不全・奇形合併・神経内分泌系腫瘍などがおこりうる.
さて,神経内分泌系腫瘍のなかでは,褐色細胞腫が著明な頻度でVon Recklinghausen氏病に合併するが,消化管のカルチノイド腫瘍も高頻度で併発が認められる.とりわけ,一般のVon Recklinghausen氏病でない患者においては,消化器のなかで十二指腸にカルチノイド腫瘍が発生するのは5%以下のまれな現象であるが,Von Recklinghausen氏病患者では,カルチノイド腫瘍は,そのほとんどが十二指腸あるいはファーダー氏乳頭周辺組織に発生するという特徴がある.
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