早期胃癌研究会
2003年6月の例会から
大谷 吉秀
1
,
松川 正明
2
1慶應義塾大学外科
2昭和大学豊洲病院消化器科
pp.1594-1596
発行日 2003年10月25日
Published Date 2003/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100752
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2003年6月の早期胃癌研究会は6月18日(水)に東商ホールで開催され,大谷吉秀(慶應義塾大学外科)と松川正明(昭和大学豊洲病院消化器科)が司会を担当した.ミニレクチャーは「Teaching Fileから多言語によるデータベース構築へ―30年間にわたる歩みと今後の活用法」と題して牛尾恭輔(九州がんセンター)が行った.
〔第1例〕50歳,男性.胃カルチノイド腫瘍(症例提供:東北労災病院胃腸科 阿部慎哉).
読影はX線,内視鏡とも長浜(早期胃癌検診協会中央診療所)が担当した.X線から読影が行われた.胃体上部大彎に立ち上がりの急峻な表面平滑な粘膜下腫瘍を思わせる卵形状の隆起性病変があり,頂部に陥凹を認めた.陥凹面の表面構造からX線的には粘膜下を主座とした胃癌が疑われた.前医の内視鏡では卵形状のやや黄色調の隆起性病変を認めた(Fig.1).入院後の内視鏡では前医での生検より生じたと思われる過形成を伴う粘膜所見を認めた.長浜は内視鏡的には胃型の癌と判断した.小沢(わたり病院消化器科)は,X線では側面像の壁硬化像が認められず,カルチノイド腫瘍を疑うとした.細井(霞ヶ浦成人病研究事業団)は生検の前後で内視鏡所見が大きく変化しており,生検前のものを詳しく読影すべきとコメントした.EUS像では第3層に食い込むように腫瘍の存在を認め,内部は均一で壊死,線維化を認めなかった.前医の生検でカルチノイド腫瘍を認め,本人の希望によりEMRを施行した.
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