早期胃癌研究会
2003年9月の例会から
今村 哲理
1
,
山野 泰穂
2
1札幌厚生病院胃腸科
2秋田赤十字病院消化器病センター
pp.1725-1727
発行日 2003年11月25日
Published Date 2003/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100733
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2003年9月の早期胃癌研究会は9月17日(水)に一ツ橋ホールで開催された.司会は今村哲理(札幌厚生病院胃腸科)と山野泰穂(秋田赤十字病院消化器病センター)が担当した.また,第9回白壁賞・第28回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が行われた.
〔第1例〕 40歳,女性.異所性胃粘膜を背景にした巨大な早期胃癌(症例提供:愛知医科大学消化器内科 等々力勇三).
X線・内視鏡の読影は中島(早期胃癌検診協会)が担当した.X線では,胃体上部から噴門部小彎~前壁の大きさ5cm以上の大きな腫瘤で表面結節状変化から成る上皮性腫瘍で,大きな潰瘍形成がみられることから進行型胃癌と読んだ.田中(広島大学光学医療診療部)は大きさの割に伸展良好で癌であれば粘液癌で,粘膜下腫瘍も鑑別診断に挙げたいと発言した.中島は内視鏡(Fig.1)では,腫瘤の立ち上がりは正常粘膜がみられるが,腫瘤本体には顆粒~結節がみられ通常型の腺癌と読んだ.田中は表面構造からtubulo-villousな癌で,壁伸展の良好なことから深部で粘液形成のみられる進行癌を考えると発言した.平田(大阪医科大学第2内科)は,粘膜下腫瘍様の隆起辺縁にくびれがあることから,深達度の浅いheterotopic glandの癌化も考慮すべきと述べた.細川(福井県立病院外科)は,GIST(gastrointestinal stromal tumor)等が急激に増大した場合にも腫瘍と非腫瘍の境界に似た所見を呈すると発言した.
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