早期胃癌研究会
第42回「胃と腸」大会から
西俣 寛人
1
,
飯田 三雄
2
1南風病院
2九州大学病態機能内科
pp.1591-1593
発行日 2003年10月25日
Published Date 2003/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100751
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第42回「胃と腸」大会は2003年5月28日(水),第65回日本消化器内視鏡学会総会のサテライトシンポジウムとしてシーホークホテル&リゾート(福岡)で行われた.司会は西俣寛人(南風病院)と飯田三雄(九州大学病態機能内科)が担当した.
〔第1例〕27歳,男性.ひだ集中を伴うIIc型胃カルチノイドの1例(症例提供:久留米大学第2内科・消化器病センター 中原慶太).
胃噴門部小彎にひだ集中を伴う病変があり,粘膜ひだ先端の肥大,融合,中央には不整な浅い陥凹面がある症例で,上皮性の病変か,非上皮性の病変かの鑑別が必要な症例であった(Fig.1).読影は赤松(信州大学光学医療部)が行った.内視鏡所見,X線所見がほぼ同様の形態を示していたため合わせて読影した.粘膜ひだの先端の肥大,蚕食像は弱いが不整な陥凹の所見よりスキルスの初期病変で,病変は狭いと読影した.田中(広島大学光学医療診療部)は陥凹周辺の胃小区模様の乱れより,sm深層の浸潤と同時に粘膜内にも広く癌は存在していると読影した.長南(JR仙台病院消化器内視鏡センター)は病変全体に深く浸潤しているのではなく,ひだ融合の部位だけsm massiveに浸潤し,比較的狭いsm癌と診断した.浜田(社会保険中央総合病院消化器科)はX線像より陥凹の中央に線状陰影があり,それに向かってひだ集中があり陥凹面に癌と診断しうる所見が乏しく,スキルス癌ではないと読影した.丸山(早期胃癌検診協会)は,X線像,内視鏡像共にこの病変の読影には空気が多いほうがよい,X線撮影法に工夫が必要と述べた.
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