早期胃癌研究会
2003年12月の例会から
西元寺 克禮
1
,
田中 信治
2
1北里大学内科
2広島大学光学医療診療部
pp.326-328
発行日 2004年3月25日
Published Date 2004/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100445
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2003年12月の早期胃癌研究会は12月17日(水)に一ツ橋ホールで開催され,西元寺克禮(北里大学内科)と田中信治(広島大学光学医療診療部)が司会を担当した.なお,ミニレクチャーは「透視画像で見る胃X線精密検査手技」という題で馬場保昌(早期胃癌検診協会中央診療所)が行った.
〔第1例〕 54歳,男性.0-IIc型早期食道癌(症例提供:川崎医科大学内科学食道・胃腸科 清水香代子).
読影は小沢(わたり病院消化器科)がX線・内視鏡とも担当した.X線ではLt領域に約1cm大の長円形のバリウム斑があり,陥凹内は凹凸不整,周辺隆起を伴う.陥凹内の凹凸不整でまず癌を疑うべきであるが,鑑別診断としてはサイトメガロウイルス感染などを挙げた.癌としては一部smに入ったもので,0-IIcと考えて良いと読影した.小山(佐久総合病院胃腸科)はsm massive,0-III,細井(霞ヶ浦成人病研究事業団)はsm massiveは考え難いとコメントした.内視鏡では陥凹底に凹凸不整,発赤が強く,弧の変形も認められることより,sm massiveで良いというのが小沢の読影であった(Fig. 1).
病理は八尾(九州大学形態機能病理)が説明した.病変はX線,内視鏡と同様の肉眼像で高分化型扁平上皮癌,肉眼型はIIa+IIcで,一部sm浸潤を認めるとのことであった.X線,内視鏡と病理の深達度の違い,肉眼型について多くの議論があった.すなわちX線などの明瞭なバリウム斑などより臨床的には0-III,病理側は肉眼像より0-IIcという主張であった.
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