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DDW(Digestive Disease Week)-Japan 2004は2004年10月21日(木)から24日(日)の4日間福岡国際会議場を中心に開催された.筆者は前半の2日間しか参加できなかったが,「胃と腸」編集室から学会印象記を書くようにとの依頼を受けていたので,いつになく熱心に会場に足を運んだ.
当初は学会前日(20日)に福岡入りし開会式から参加するつもりでいたが,超大型の台風23号のために交通機関がマヒし移動できなかった.翌日新大阪駅午前7時発ののぞみに乗り台風一過の青空が広がる福岡に向かった.会場には午前10時に到着し,まずワークショップ2「症候性GERDの病態と治療戦略」の会場に行った.このワークショップは9時30分開始だったので,既に2題の発表が終わっていた.会場に入って聴衆の少なさにまず驚いたが,さらにびっくりしたのは壇上の司会者席には春間賢先生(川崎医科大学食道・胃腸内科)の姿しかなく,浅香正博先生(北海道大学消化器内科)の姿が見えなかったことだ.台風のために間に合わなかったようだ.ほかの会場でも座長や演者の欠席があったという話をあとから聞いた.会長はさぞ肝を冷やされたことと思う.肝心のワークショップであるが,聞いていて非常にわかりにくかった.テーマが「症候性GERD(gastroesophageal reflex disease)」となっているのに“内視鏡陰性GERD”として発表する演者もいて,各演者で対象が統一されていなかった.もっとも“症候性GERD”は症候群なので,ある程度は致し方ないところもあろうが,従来からの食道内pHや内圧測定に加えて,下部食道の血管像の拡大観察,バルーンによる知覚の検討,生検材料を使った分子生物学的検討など目新しい方法論の発表もあった.“症候性GERD”から“逆流性食道炎”への移行例は少なく,そのほとんどがグレードAであることから,両者は異なった病態であろうと感じた.また,全くの私見ではあるが,“GERD”の中には“逆流”とは無関係な病態が結構含まれていると思っていたので,噴門形成術によって“症候性GERD”が全例完治したという外科の発表にはいささか驚いた.
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