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大腸癌治療ガイドライン
斉藤(司会) 皆さんお忙しい中ありがとうございます.座談会「大腸sm癌内視鏡摘除の適応および摘除後のfollow upをめぐって」を始めさせていただきます.
近年,大腸sm癌の内視鏡治療が非常に増えてきております.早期癌ですから,ぜひとも患者さんの命を落すことはないようにしたいのですが,少ないながらも不幸な転帰をとる場合があります.それをいかに減らすかという一方で,大腸sm癌に対する内視鏡摘除後に外科手術を行っても,そのほとんどが遺残やリンパ節転移がみられず,追加外科手術の基準の変更が必要であるということが言われておりました.それに対する最近の主な動きとして,大腸癌研究会で新しい大腸癌治療ガイドラインが作成中となっており,今までより内視鏡適応基準が少し拡大されようとしています.まず田中先生,大腸癌治療ガイドラインの作成メンバーに入っておられますが,その辺りの概略からご説明いただけますでしょうか.
田中 大腸癌研究会の「大腸sm癌取り扱いプロジェクト研究委員会」でsm浸潤度の実測方法が統一され,一応1,000μmまでのsm浸潤癌は脈管侵襲等の条件がなければ転移がないということで,1,000μmまで大腸sm癌EMR後の根治基準が適応拡大できるという指針が出ました.それを受けて杉原健一教授(東京医科歯科大学腫瘍外科)が委員長となって「大腸癌治療ガイドライン作成委員会」が立ち上がり,1,000μmという具体的なsm浸潤距離が盛り込まれました.現在,評価委員会で検討されている最中だと思います.J Gastroenterolに報告された内容は,かなり将来的な可能性も含めて考察されていますが,「大腸癌治療ガイドライン」に取り込まれる条件は,あくまで“sm浸潤距離1,000μm未満,脈管侵襲陰性かつ高分化~中分化腺癌”で,低分化や未分化成分を含まないことが条件です.もちろん切除断端陰性であることが必須条件です.
斉藤 大きさに関しては基準がありますか.
田中 大きさは特に根治基準の条件ではありません.治療指針に関するフローチャートでは,mまたはsm微小浸潤と診断した病変は内視鏡治療を行うけれども,mまたはsm微小浸潤と診断されても,径2cmを超えるもので内視鏡的切除がきちんとできない病変は外科的切除に回すよう薦められています.
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