特集 消化管の出血性疾患2005
止血術
10.血管造影による動脈塞栓術
明神 和紀
1
,
小泉 淳
1
,
今井 裕
1
1東海大学医学部附属病院基盤診療学系画像診断学
キーワード:
動脈塞栓術
,
塞栓物質
Keyword:
動脈塞栓術
,
塞栓物質
pp.704-708
発行日 2005年4月25日
Published Date 2005/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100101
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はじめに
消化管出血は,われわれがしばしば遭遇する緊急性の高い疾患の1つである.近年の内視鏡診断および内視鏡観察下治療の著しい進歩により,特に上部消化管出血に対してはそのほとんどが止血可能である.しかしながら下部消化管出血,特に小腸や中枢側結腸からの出血では出血部位の同定でさえ困難なこともある.このような症例の中で,内科的治療が奏効せず血管造影による動脈塞栓術や開腹手術による止血術が必要とされる症例は25%程度とされている1).従来このような消化管出血には開腹止血術が行われてきたが,重篤な基礎疾患や大量出血による全身状態不良のため致死率が高く,全身麻酔でさえ施行できない症例が存在する.そこでより侵襲性が低く,しかも出血点のみをピンポイントに治療可能でより多くの正常組織を温存できる点で血管造影による動脈塞栓術は期待される止血術の1つと考えられる.本稿では動脈塞栓術の対象となる病態と治療について述べる.
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