画像診断
腎血管筋脂肪腫に対する選択的動脈塞栓術:長期経過観察
藤井 靖久
1
,
石坂 和博
1
,
木原 和徳
1
,
大島 博幸
1
1東京医科歯科大学医学部泌尿器科
キーワード:
腎血管筋脂肪腫
,
動脈塞栓術
Keyword:
腎血管筋脂肪腫
,
動脈塞栓術
pp.873-875
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904471
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患者 43歳女性。
主訴 左背部痛,肉眼的血尿。
現病歴 1994年7月14日,昼間,部屋の掃除中に突然左背部に激しい疼痛を感じ,嘔気,嘔吐を伴った。その後の排尿は肉眼的血尿であった。同日,某院に緊急入院となり,左腎腫瘍,自然破裂と診断された。末梢血ヘモグロビン濃度6.3g/dlの貧血があり,濃厚赤血球5単位を輸血した。7月26日,本人の希望により当科に転院となった。
入院後経過 投下入院時は嘔気,嘔吐,肉眼的血尿は消失しており,左側腹部から背部の疼痛が断続していた。血液検査ではヘモグロビン11.9g/dlの貧血があり,またLDH1,357U/l,C反応性蛋白2・5mg/dlと上昇していた。
腹部超音波検査(図1),CT検査(図2)では,10cm大の左腎血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML)の自然破裂と考えられた。8月10日に左腎動脈造影を行ったところ,左腎腫瘍はhypervascularでmicoro-aneurysmsを伴っており,AMLに合致した所見であった(図3a)。腫瘍の栄養動脈までカテーテルを進め,エタノール3mlにて選択的動脈塞栓術を行った。塞栓術後の左腎動脈造影では,腫瘍血管はまったく描出されなくなった(図3b)。塞栓術後は軽度の左背部痛と微熱を認めた。8月21日に退院した。
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