増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
カルシトニン
盛田 幸司
1
,
江戸 直樹
1
,
石川 敏夫
1
1帝京大学医学部内科学講座(内分泌代謝・糖尿病内科)
pp.360-362
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223310
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検査の概要
哺乳類において,カルシトニンは主に甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されるペプチドホルモンであり,32個のアミノ酸から構成される.カルシトニンは破骨細胞の骨吸収を抑制し,血中カルシウム(Ca)濃度を低下させる.だが,その生物活性はサケ鰓後腺由来のカルシトニンに比べると1/10以下と弱い1).脊椎動物は進化のなかでCaが豊富な海から陸地への上陸を果たすが,その過程でカルシトニン,ビタミンD以外の骨代謝調節因子としてPTHを獲得し,相対的にカルシトニンの生理的意義は低下した.よって本検査の目的は,Ca・骨代謝異常の鑑別診断ではなく,C細胞由来の癌である甲状腺髄様癌の腫瘍マーカーとしての役割に限定される.
実際の測定は,早朝空腹時採血で得られる血清0.5mLで行う.
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