増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液検査
血球検査
砂糖水試験/HAM試験
新谷松 知子
1
,
川合 陽子
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部
pp.276-278
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909831
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検査の目的・意義
砂糖水試験とHAM試験は,発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)のスクリーニングおよび診断に不可欠な検査として知られている.PNHは赤血球膜蛋白であるglycosyl phosphatidyl inositol(GPI)結合型膜蛋白の欠損により血管内で補体溶血を起こす,慢性の後天性の溶血性貧血である.この疾患は睡眠中に血液中にCO2がたまって血液pHが低下すると起こりやすく,早朝,暗赤褐色尿をみることが多いため,“発作性夜間血色素尿症”と名付けられた.この補体溶血をin vitroで起こさせ,診断に用いるのが本試験であり,砂糖水という低電離度液中で赤血球に補体を付着しやすくしたものが砂糖水試験,塩酸を加えてpHを酸性(pH6.5〜7.0)にすることにより補体を付着しやすくしたものがHAM試験と呼ばれている.なお,砂糖水試験は陽性に出やすく,スクリーニングとして普及しており,HAM試験はPNHに特異的といわれ,確認検査として用いられている.
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