臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
126.血清膵リパーゼ
林 康之
1
Yasuyuki Hayashi
1
1順天堂大学医学部・臨床病理学
pp.2404-2405
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219447
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異常値を示す疾患(表1)
血清リパーゼ(Lp)は従来測定値の再現性の悪いことが災いして,日常検査に採用しているところは少ない.また,血清Lpは基質によっては肝エステラーゼの作用をみていたと考えられる場合もあり,臨床的利用価値が低く評価されてきた.最近これらの方法論的な問題が解決されはじめ,血清中の膵Lp値はアミラーゼよりも特異性が高く,膵疾患に鋭敏なことから採用されるようになった.
異常値を示す疾患は表1のとおりで,膵管から十二指腸までの流出障害を生ずる疾患すべてを含んでいる.次が胆嚢胆道および周辺臓器疾患であるが,イレウス,消化管穿孔などは膵への影響の多寡によって上昇頻度が変わる.また,急性膵炎や膵結石ほど高値は示さない.セクレチン注射後,モルヒネ注射後,ERCP後は一過性の上昇を示し,とくにERCP後は3〜4倍程度の上昇を示す.また上昇は約30時間続いたのち低下する.
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