増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
窒素化合物
尿酸
河邊 満彦
1
,
飯野 靖彦
1
1日本医科大学第一病院第2内科
pp.62-64
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909753
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検査の目的・意義
尿酸は体細胞核の核蛋白プリン体の最終代謝産物として体内で合成された後,腎糸球体におけるfiltration,近位尿細管でのreabsorption,secretion,そしてpost-secretion reabsorptionの4つのcomponentを経て,結局,約1.0gの1日尿酸合成量の中の65±10%に当たる約500〜800mgの尿酸が尿に排泄される.血漿中に尿酸は尿酸塩として存在し,体温37℃,pH7.4のときの尿酸塩の溶解度は約7.0mg/dl,尿酸にして6.4mg/dlである.そしてその溶解度を越えるとき,物理化学的に過飽和状態にあり,腎髄質,耳介や関節腔への尿酸の沈着と結晶の析出を招くことになる.尿pHの酸性化や循環血液量の低下は間質および尿細管への尿酸沈着の原因になる.体内プールの約0.01%の尿酸は唾液や汗などに,また少量は胆汁中に排泄されており,腸内の細菌により分解されて生じたNH3は吸収されて尿素へと合成される.約20%の尿酸は体内で化学的分解により異化されると考えられている.
そのようにして,血清尿酸値の測定はプリン体代謝異常や腎機能障害の発見に有用となる.
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