特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
窒素化合物
尿酸
谷口 敦夫
1
1東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
pp.157-159
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104724
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
尿酸はヒトにおけるプリン代謝の最終産物である.プリン代謝ではde novo経路とサルベージ経路という2つの経路によりプリンヌクレオチドが合成される.de novo合成経路では11段階の酵素反応によりイノシン酸が合成され,これからアデニル酸(AMP),グアシル酸(GMP)が作られる.一方,サルベージ経路ではプリン塩基から直接ヌクレオチドが合成される.体内のプリン体が分解して生じるプリン塩基や食事中のプリン塩基はこの経路でヌクレオチドとして再利用されるか,異化されてキサンチンオキシダーゼ(キサンチンオキシドリダクターゼ)により尿酸に変換される.キサンチンオキシダーゼは尿酸生成阻害薬であるアロプリノールの作用点である.
血液中の尿酸は糸球体でほぼ100%濾過されたのち,近位尿細管で再吸収あるいは分泌され,最終的に糸球体で濾過された尿酸の10%程度が尿中に排泄される.近位尿細管には尿酸の再吸収や分泌を担うトランスポーターが管腔側,血管側に存在する.特に管腔側に存在するトランスポーターであるURAT1は尿酸再吸収の主要なメカニズムであるとともに,尿酸排泄促進薬であるプロベネシドやベンズブロマロンの作用点である1).
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