今月の主題 ウイルス肝炎1990
ウイルス肝炎の特殊治療
C型肝炎に対する抗ウイルス療法
中野 善之
1
,
清沢 研道
1
1信州大学医学部・第2内科
pp.1542-1544
発行日 1990年9月10日
Published Date 1990/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909584
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1989年,米国カイロン社のグループは,非A非B型肝炎ウイルスの遺伝子に対するcDNAをクローニングすることに成功し,さらにそのcDNAから発現させたpolypeptide(C100-3抗原)を用い,非A非B型肝炎ウイルスに関連する血清抗体の測定方法を開発した.この肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルス(HCV),その血清抗体はHCV抗体と命名された.HCV抗体は非A非B型慢性肝炎の約80%に陽性となり,同肝炎の大部分がC型肝炎であることが明らかとなった.
現在のところC型肝炎に対する確立された治療法はない.HCVの発見以前より非A非B型慢性肝炎はウイルス感染症と考えられていたことよりacyclovirや,B型肝炎と同様にcorticosteroidによる治療が試みられたことがあったが有効ではなかった.1986年,Hoofnagleら1)がrecom-binant interferonαによる治療の有効性を報告して以来,C型慢性肝炎に対してはインターフェロン(IFN)治療が有効な症例があることが報告されている2).
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