今月の主題 消化器診療のcontroversy
胃・十二指腸疾患
長期維持療法で胃・十二指腸潰瘍の再発予防は可能か?
安海 義曜
1
,
西元寺 克禮
1
1北里大学医学部・内科
pp.208-211
発行日 1990年2月10日
Published Date 1990/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909469
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H2受容体拮抗剤(以下,H2-B剤と略)の登場によって,消化性潰瘍の治療は,治癒率80〜90%以上とほぼ満足のいく成績が得られているが,H2-B剤中止後の再発が多く,その一因としてacid rebound現象および防御因子の低下などが指摘されていた.これに対して否定的な意見も多く,Ippoliti(1983)は,大量の制酸剤投与で十二指腸潰瘍をH2-B剤と同程度の高い治癒率を得たのち,投与中止後にも高率な再発を認めており,中止後の再発はH2-B剤特有のものではないようであるが,いずれにしても消化性潰瘍は古くから“oncean ulcer, always an ulcer”と表現されるように再発および潰瘍症離脱に関して宿命的な難問を抱えた疾患である.
本稿では,長期維持療法で消化性潰瘍の再発予防が可能か否か,また,H2-B剤の維持療法のもたらしたcost benefitはいかなるものかについて述べたい.
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