今月の主題 腸疾患診療のノウハウ
鑑別すべき重要な疾患
出血を伴う感染性腸炎
櫻井 幸弘
1
1NTT東日本関東病院内視鏡センター
pp.848-850
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908709
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感染性腸炎は程度の差こそあれ,ほとんどが出血を伴う疾患である.ロタウイルス腸炎は出血を呈さないとされていたが,最近の報告では血便をきたすことがあるとされている.コレラは例外であるが,出血は細菌が組織へ侵入し上皮細胞を破壊することで起きる.出血という観点からみると大量出血は稀で,血便量が多く見えても水様下痢便で希釈されるためであり,ヘモグロビンの低下をきたすことは少ない.下痢や腹痛が強いため臨床的には重症感が強く,周囲も患者も慌てることが少なくない.診断に際しての注意点を述べ,症例を通じて鑑別診断について述べたい.
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