カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・14
十二指腸—正常内視鏡像
稲土 修嗣
1
1富山赤十字病院消化器内科
pp.356-360
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908595
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解剖学的特徴と内視鏡観察のポイント
十二指腸は胃に連続する臓器で,その名称はギリシヤ語のdodekadaktulon(12本の指の幅の意味)に由来し,小腸の最口側20〜30cmを占めるにすぎない.しかし,それに続く空・回腸とは異なり,大部分は壁側腹膜で固定され可動性に乏しく,胃液の流入・胆管・膵管開口部の存在など,古くから消化吸収の場として重要な部とされ,十二指腸の各部位には,多くの解剖学的名称がつけられている1)(図1).
通常,上部消化管内視鏡検査には直視鏡が使用され,スコープの性能が向上した今日,下行部までの観察がルーチン化されている.しかし主乳頭の観察(図2)や逆行性膵胆道造影および関連する治療処置には,側視鏡の使用は不可欠であり,目的に応じてスコープを選択する必要がある.なお十二指腸の内視鏡観察は胃の観察に先んじて行うのが良いと考えられる.その理由は通常,左側臥位で検査を行うため胃の観察を優先すると,送気により胃・十二指腸全体が伸展してしまい,スコープの挿入が困難になるとともに腸蠕動が誘発され観察が困難になることがあるからである.
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