カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・6
胃—正常内視鏡像
榊 信廣
1
1東京都立駒込病院内科
pp.1085-1088
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908191
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胃の解剖学的特徴
胃は,食物を分泌した酸や消化酵素と蠕動運動の働きで粥状にして,消化・吸収を行う十二指腸以下に送り出すという働きをしている中空の臓器である.胃壁は内腔面から粘膜,粘膜下層,固有筋層,漿膜下層,漿膜の5層構造をもっている.しかし,超音波内視鏡を除く内視鏡では,内腔面に面した粘膜面を観察している.さらに,詳しく言えば,粘膜表面を覆っている円柱上皮である被蓋上皮部分を観察していることになる.そこで,内視鏡診断において,最も必要な知識は粘膜面の胃粘膜の形態学的特徴ということになる.
胃内腔を覆う胃粘膜は,正常では固有腺細胞の違いから,噴門より約2cmの幅の噴門腺領域,口側2/3の最も広い胃体部を占める胃底腺領域,肛門側1/3の前庭部を占め幽門に至る幽門腺領域に分けられる.胃底腺は胃酸やペプシノーゲンなどを分泌する腺細胞で形成された単一管状腺である.一方,幽門腺は単一胞状腺で彎曲分岐している.そのために,拡大内視鏡観察をすれば,両者は基本的に異なった形態を示す1).
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