今月の主題 腎・尿路系疾患を診る
腎・尿路系疾患へのアプローチ
尿意・排尿異常へのアプローチ
横山 雅好
1
1愛媛大学医学部泌尿器科
pp.1804-1805
発行日 2001年11月10日
Published Date 2001/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908426
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一般に,正常成人では100〜150mlの尿が膀胱にたまったときに初発尿意を感じ,さらに300〜400mlたまったときに最大尿意を感じる.また,自分の意思で短時間に残尿や不快感なく排尿でき,自分の意思に反して尿が漏れることはない.多くの場合,排尿回数は1日4〜6回程度であり排尿のために夜間睡眠中に2回以上覚醒することは稀である.しかしながら,現実には排尿習慣には個人差が大きく,例えば排尿回数についていえば,健康成人の約10%は1日の排尿回数が10回以上といわれる1).また,3〜4回夜間排尿があっても自覚症状として訴えのない場合もある.また,排尿回数に影響する因子としてもさまざまな要因が挙げられる.例えば,膀胱容量,残尿量,1日尿量,初発尿意尿量など泌尿器科的な要因のみならず,精神的緊張などの外的な要因によっても排尿回数は影響を受ける.本稿では,排尿異常のなかで最も頻度が高い排尿困難,頻尿,尿失禁について解説するが,排尿異常はそれぞれ多様な原因によって発生し,また同じ原因からも異なった病状を示すことが多い.例えば,前立腺肥大症による下部尿路通過障害があっても,夜間頻尿や切迫性尿失禁だけを主訴に受診することも珍しくない.
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