特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:産褥期
産後尿意が感じられない・自尿が少ない
笠井 靖代
1
,
石川 晃
2
KASAI Yasuyo
1
,
ISHIKAWA Akira
2
1日本赤十字社医療センター産婦人科
2日本赤十字社医療センター泌尿器科
pp.597-600
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002154
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はじめに
分娩時の胎児の下降により膀胱が圧迫され,骨盤内臓神経の求心性線維(感覚神経)が麻痺すると,膀胱の伸展刺激を中枢に伝えることができないため尿意が生じず,排尿反射が起こらなくなり,一過性の尿閉や尿意減弱などの排尿障害が起こることがある。また,分娩時に骨盤底筋群がダメージを受けると尿失禁が起こる。産後のトラブルのなかで,「尿意が感じられない・自尿が少ない」という訴えは,尿失禁と比較して頻度は高くないものの当事者にとっては深刻なものである。産後に心身が大きく変化するなかで,慣れない育児が始まり十分な休養をとることが難しい。そのため,「尿意が感じられない・自尿が少ない」と訴える女性に対しては,速やかな医学的介入とともに本人を不安にさせない心のケアも大切である。

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