WIDE SCOPE
病巣遠隔部の二次変性
小川 敏英
1
1鳥取大学医学部放射線医学教室
pp.50
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908358
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今から14年前になるが,米国国立衛生研究所でポジトロンCT(PET)のデータをレビューする機会を得た.対象は側頭葉てんかん患者で,F18—fluorodeoxyglucoeを用いたPET(FDG-PET)により脳ブドウ糖代謝を測定したデータである.側頭葉てんかんの原因疾患としては,mesial tem—poral sclerosisが最も高頻度であるが,発作間歇期のFDG-PETでは,てんかん焦点側の側頭葉内側部を中心としたブドウ糖代謝の低下を認める.また,この所見に加えて,病変とは離れた同側視床のブドウ糖代謝の低下を稀ならず認めた.これは,海馬から乳頭体,視床前核へ至り,帯状束を介して海馬に戻る神経回路であるPapez回路を介した機能的抑制ではないかと当時は考えていた.しかし,このような神経線維を介した病巣遠隔部の変化は,形態学的には捉えられないものと思い込んでいた.
天幕上の梗塞病変などに伴い,SPECT,PETで観察される同側視床,対側小脳半球の血流,代謝の低下はremote effectとしてよく知られている.
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