Japanese
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手術の実際
腸外科—Ⅲ.腸閉塞症(1)
Intestinal surgery: (Ⅲ) (Intestinal obstruction)
西本 忠治
1
1岡大医学部第一外科
pp.1198-1205
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203154
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イレウスと診断されて手術されるようになつても,単に機械的イレウスというだけで開腹しなければならないこともあるが,単純性イレウスか,小児腸重積症,S状結腸捻転症,索状物による絞縊,あるいは嵌頓症などの複雑性イレウスかその閉塞部位はどこかなどを予め知ることができれば,手術の要否を決定しうるし,予後を良好にすることができる.
イレウスのごとき緊急手術の手技選択の良否はその治療成績を左右するし,こみ入つた手技(急性炎症状癒着性イレウスの無理な癒着剥離,結腸癌によるイレウスで瀕死の状態にあるものを強引に根治手術を行なう等)を弄しようとするのは誤りで,腸管の通過障害除去が第一主義であり,最もよくなれた平易な術式を手順よく行ない,できるだけ小さな侵襲に止めるのが賢明である.術前処置は成書に詳しく述べられているが,大人の場合,輸液2000cc (ブドウ糖液リンゲル液等量混合)輸血 400 ccを目安とする.胃管カテーテルを挿入して胃内容を持続的に除去しておくことは,イレウスの種類の診断に役立つし,患者の心臓に対する腹腔からの圧迫を軽減し,強心的の意味にも重要である.また排除された胃液内容により高位のイレウスか,若しくはイレウスの発生以来どれ位の期間が経過しているかが分るものである.
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