増刊号 臨床医のための最新エコー法
エコー法の実践—腹部エコー法
膵疾患
武井 宏一
1
,
羽木 裕雄
2
,
跡見 裕
1
1杏林大学医学部第1外科
2島村記念病院外科
pp.246-250
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907743
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検査の手順
膵臓は後腹膜腔に存在するために消化管のガスによる影響を受けやすく,また時に周囲の脂肪織とのエコーレベルの差が小さく,臓器の同定すら困難なことがある.被検者を背臥位または坐位として,深呼吸時に心窩部横走査で観察すると,肝臓がacoustic windowとなり膵臓が描出されやすくなる.また,このときにプローブ(探触子)で腹壁をやや強く圧迫すると,消化管のガスが排除され,より描出されやすくなる.膵臓の同定には周囲の脈管系を指標とすることが有用であり,解剖学的位置関係をよく理解することが重要である.膵臓は心窩部で右下から左上へ斜めに存在し,やせ型の人ほど傾斜が急なことが多い.頭部は上腸間膜静脈,門脈の左側縁と十二指腸壁内側縁で囲まれた部分で頸部および鈎状突起を含んでいる.頭部を除いた尾側膵を2等分し,その十二指腸側を体部,脾側を尾部とする.さらに膵臓各部は十二指腸Vater乳頭部を起点として,上下に2等分した線により上・下の領域に分けられ,また各部を前後に2等分した線により前・後の領域に分けられる.なお鈎状突起は後部に含まれる.
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