増刊号 臨床医のための最新エコー法
エコー法の実践—腹部エコー法
胆道疾患
平田 健一郎
1
1札幌医科大学機器診断部
pp.240-245
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907742
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胆嚢
1.検査の基本と正常像
基本的には朝食抜きで午前中に検査を施行するが,朝食を軽く摂取後,昼食抜きで午後に行ってもよい.吸気位で息止めをしてもらい,仰臥位,右季肋下縦断走査で胆嚢の長軸断面を描出する.画面を見ながら頸部から底部まで全体像が描出されるようにプローブを走査し,最大断面を記録する.消化管のガスなどで十分に観察されない場合は,呼気位で息止めしてもらい右肋間走査を行うか,左側臥位に体位変換し吸気位で息止めをしてもらい,右季肋下縦断〜斜め走査を行う.胆石の移動性を観察する場合には,半座位,腹臥位などの体位変換が役立つ.病変の誤認や見落とし防止のために,どの走査法でも必ず長軸方向と短軸方向の2方向から観察を行う.
胆嚢内腔に出現するアーチファクトには,多重エコー,サイドローブ,近接臓器の重なり像などがある.腹壁の多重エコーは胆嚢底部にしばしば出現するが,呼吸による変化がないことで鑑別しうる.底部の観察には腹壁の多重エコーの影響を避ける必要があり,体位変換や呼吸性移動を利用する.サイドローブは胆嚢の屈曲部から連続する像として出現することが多い.体位や走査方向を変えることにより,その消長を確認する.近接臓器(主に十二指腸)の重なり像は,走査面に垂直な面の超音波ビームの広がりによるアーチファクトで,走査方向を変えることにより鑑別しうる.
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