増刊号 臨床医のための最新エコー法
エコー法の実践—心エコー法(その他の心疾患)
肺性心と肺血栓塞栓症
三神 大世
1
,
西原 馨子
2
,
北畠 顕
2
1北海道大学医療技術短期大学部衛生技術学科
2北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
pp.220-224
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907737
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肺性心は,肺循環系を含む肺の病変に基づき肺高血圧症を生じ,右心負荷や右心不全をきたす病態の総称である.肺気腫や肺線維症などの肺実質性病変もその原因となるが,肺高血圧症が高度になることは少ない.本症の診断における心エコー法の役割が,まず肺高血圧症の診断と重症度評価にあり,次いで機能的三尖弁逆流などその二次的な病変の把握にあることを考えると,肺実質疾患での本法の役割は必ずしも大きいとはいえない.
一方,肺血管疾患では,しばしば高度の肺高血圧症をきたすが,その診断には心エコー法がきわめて有用である.肺血管病変として,肺血栓塞栓症,原発性肺高血圧症,および混合性結合組織病(MCTD:mixed connective tissue disease)などの膠原病に続発する肺高血圧症などが挙げられる.肺塞栓症は見逃しやすい重篤な急性疾患の代表として,また原発性肺高血圧症はより慢性の経過をとるがきわめて予後不良な疾患として重要である.また,膠原病の予後を規定する因子として,肺高血圧症は重大な合併症といえる.
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