増刊号 臨床医のための最新エコー法
エコー法の実践—総合エコー法
副甲状腺
貴田岡 正史
1
1公立昭和病院内分泌代謝科
pp.48-52
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907689
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臨床的に副甲状腺の画像診断が必要とされるのは,血液生化学的検査や臨床症状より,その機能異常が想定された場合である.しかし近年になり,甲状腺を始めとする前頸部の超音波断層検査が汎用されるようになると,その際に偶発的に副甲状腺腫,特に副甲状腺嚢胞が発見されることが散見されるようになった.
副甲状腺の画像診断は,病態を大きく過形成と腺腫・癌腫に分けて,その進め方を考えていく必要がある.すなわち,一腺のみの腫大か,複数腺の腫大の可能性を前提にする必要があるか否かが重要となる.従来は,一次性副甲状腺機能充進症の病態を念頭に置いて検討されることが多かった.実際,一次性副甲状腺機能亢進症の有病率は自動分析装置の普及に伴い血清Caのスクリーニングが一般化するにつれて,従来想定されていたよりも高頻度であることが明らかとなった.その頻度は欧米では人口1,000人当たり1人ないし2人とされており,高Ca血症の原因としては最も多い1〜3).これらは副甲状腺腺腫によるものが大部分で,癌腫や多腺性内分泌腫瘍(MEN)に伴う過形成はそれぞれ約10%にすぎない.
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