内視鏡外科手術に必要な解剖と術野の展開・14
甲状腺・副甲状腺
山本 育男
1
,
藤村 昌樹
1
1草津総合病院外科
pp.130-137
発行日 2003年4月15日
Published Date 2003/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900394
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はじめに
従来の甲状腺良性腫瘍や上皮小体腫瘍に対する頸部手術法では,頸部の露出部に切開痕が残ることや,筋肉や神経を損傷することによる頸部の運動制限,嚥下障害,頸部皮膚知覚障害などが問題となっていた.ことに,甲状腺腫瘍患者の多くは女性患者であることから,頸部の瘢痕創は大きな精神的苦痛の原因となっていた.これに対して,内視鏡下甲状腺手術は,頸部瘢痕創による整容的・肉体的な苦痛から患者を解放し,quality of life(QOL)を向上させる優れた術式である1〜3).しかし,手技の難易度は高く,頸部の解剖に精通し,十分な術野の展開が不可欠である.
本稿では,内視鏡下外科手術に必要な解剖と甲状腺片葉切除術を例とした頸部皮下の?離,吊り上げ装置を用いた広い術野の展開,反回神経の保護について述べる.
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