今月の主題 症例から学ぶ水電解質・酸塩基平衡異常
症例・疾患と水電解質異常
急速な利尿を機に意識障害を起こした肝硬変
余 心漢
1
,
榎本 信幸
1
,
丸茂 文昭
1
1東京医科歯科大学第2内科
pp.970-973
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907510
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【症例】68歳,女性.8年前にC型肝炎ウイルスによる肝硬変と診断された.1ヵ月前より腹部膨満と全身浮腫が出現したため,近医に入院した(図1-①).
血液生化学:TP 6.3g/dl,BUN 16mg/dl,Alb 2.8g/dl,Cr 0.7mg/dl,Na 134mEq/l,ALT 128IU/l,K 4.2mEq/l,AST 731U/l,Cl 101mEq/l,NH3 38μg/dl
動脈血ガス(room air):pH 7.506,PaCO2 31.4Torr,PaO2 95Torr,HCO3 23mmol/l
非代償期肝硬変に伴う浮腫・腹水貯留および呼吸性アルカローシスと診断し,安静臥床とスピロノラクトン(アルダクトン®)25mg/日で治療を開始,反応が認められないためフロセミド(ラシックス®)の併用が開始された.7日間で体重が約10kg減少し浮腫・腹水のほぼ完全な消失がみられたが,低Na・低K血症が出現し,第9病日より俳徊や羽ばたき振戦が出現した.第10病日に傾眠傾向を呈した(図1-②).
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