病気のはなし
肝硬変
鈴木 宏
1
1東大第1内科
pp.6-12
発行日 1975年9月1日
Published Date 1975/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200858
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
肝硬変はほとんどすべての肝疾患の終末像ともいうべきものである.種々の原因によって肝臓が障害されると,肝細胞の変性,壊死が起こるが,その修復機序として線維化が起こるとともに,残った肝細胞による再生が起こる.このため,正常の肝は表面が平滑で硬さも軟らかいが,肝硬変になると,線維化によって肝が固くなるとともに,再生によって表面に凹凸ができる(カラー写真参照).
このような形態の変化と同時に機能的な変化も起こってくる.しかし,肝臓は他の臓器に比べて再生能が強いとともに代償能も強いため障害が高度にならないと肝機能の低下は起こってこない.肝硬変でも代償性のものでは肝機能検査上,全く異常のみられない場合があるのはこのためである.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.