今月の主題 血栓症と抗血栓薬
血栓症の基礎—最近の研究の進歩
血栓形成における血小板の役割
西川 政勝
1
,
市岡 希典
1
1三重大学医学部第2内科
pp.688-691
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907445
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●虚血性心疾患などの動脈血栓症は,粥腫プラークの破壊とそれに伴う血栓形成により動脈閉塞や狭窄をきたす疾患で,その初期病変は血小板血栓の形成である.
●内皮細胞が傷害されると内皮下組織に血小板が粘着.凝集し,種々の生理活性物質を放出し壁在血栓が形成される.
●ADPやコラーゲンなどのアゴニスト惹起血小板凝集に加えて,狭窄部で生じた高いずり応力によるvon Willebrand因子依存性の血小板凝集が,血栓形成に重要な役割を演じていると考えられる.
●血小板は,動脈血栓形成初期に中心的役割を演じているばかりでなく,動脈硬化の進展にも密接に関係している.
●各種の抗血小板剤が開発され,動脈血栓症の治療や再発予防を目的に臨床使用されているが,これらのなかには抗動脈硬化作用を併せもつ薬剤がある.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.