増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗平滑筋抗体(SMA)
安村 敏
1
,
渡辺 明治
1
1富山医科薬科大学第3内科
pp.600
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906492
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗平滑筋抗体は,主にactinに対する自己抗体で,IgG,IgMの両者が存在する.抗平滑筋抗体は臓器特異性,種特異性はなく,補体結合性をもたない.自己免疫性肝炎I型(ルポイド型)で,抗核抗体と並んでIgM型の抗平滑筋抗体が高力価で場性となるが,その対応抗原は平滑筋や横紋筋に多く存在するS-actinである.この抗原は細胞膜や肝細胞の細胞骨格にも分布しており,抗平滑筋抗体が肝障害を起こす機序が想定されている.一方,高力価のIgGクラスのactin抗体は,抗核抗体よりも自己免疫性肝炎特異性が高いとされている.抗平滑筋抗体はSLE(全身性エリテマトーデス〉で通常は陰性であり,自己免疫性肝炎I型とSLEによる肝障害との鑑別に有用である.
1976年Bottazzoらにより,抗平滑筋抗体はラット腎切片の染色様式により,尿細管染色されるSMA-T(tublar),糸球体が染色されるSMA-G〔glomeruli),血管壁が染色されるSMA-V(vessels),の3種に分類されたが,活動性自己免疫性肝炎では,SMA-V(vessels)やSMA-T(tublar)が検出される頻度が高い.
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