増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
内分泌機能検査
148.血清コルチゾル,尿中17-OHCS,尿中17-KS
斎藤 史郎
1
,
新谷 保実
1
1徳島大学医学部・第1内科
pp.1991-1993
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222837
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●異常値を示す疾患
コルチゾルは副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドで,下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により分泌調節を受けている.17-OHCSはステロイド骨格の17α位にOH基を有するステロイドの総称で,大部分は糖質コルチコイドに由来する.17-KSは17位にC=O基を有するステロイドの総称で,大部分はアンドロゲンに由来しており,コルチゾルの約10%以下が17-KSとして代謝されている.成人男性では尿中17-KSの2/3は副腎由来,1/3が睾丸由来である.したがって,血清コルチゾルおよび尿中17-OHCS,17-KSの測定は下垂体副腎皮質系機能を評価する上に重要である1).
異常値を示す主な疾患は表1に示したとおりである.血清コルチゾル値は一般には尿中17-OHCS,17-KS値とほぼ平行して増減し,Cushing症候群ではいずれも高値となり,下垂体機能低下症やアジソン病ではいずれも低値となる.しかし,病態によっては両者の値が解離する場合があり,神経性食欲不振症や肝硬変では,ステロイド代謝が障害されるため血清コルチゾルはやや高値となるが,尿中17-OHCS,17-KSは低値である.逆に,甲状腺機能亢進症では肝臓のステロイド代謝が亢進するため,血清コルチゾル値は正常でも尿中17-OHCS,17-KSは軽度増加することが多い.
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