けんさ—私の経験
慢性肝疾患において有用な検査データ
大森 俊明
1
1石川県立中央病院消化器内科
pp.361
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906382
- 有料閲覧
- 文献概要
領域を問わず,愚者さんの診療に当たっては検査値云々よりも,顔貌や血圧などといったビジュアルなもののほうが優先されるのは当然だろうと思います.例えば出血性ショック患者のHb値は急性期の出血量を反映しません.しかし,こと慢性肝疾患の診断や経過観察においては検査データこそが,診療において非常に重要な意味をもつことが多々あります.
〔症例1〕61歳の女性.検診にて肝機能異常を指摘され受診.ALPが他の酵素より突出して高値であり,まずもって原発性胆汁性肝硬変(PBC)を疑う.エコーでは脾腫を認め,データではALP 890IU/l,GOT 42IU/l,GPT 44IU/l,γGTP 331IU/l,TCH 225mg/dl,IgM 876mg/dl,ANA+,AMA+80でPBCの診断が確定.肝生検するまでもなくUDCA(ウルソデスオキシコール酸)投与開始した.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.