増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
窒素化合物
アンモニア
中村 郁夫
1
,
井廻 道夫
1
1自治医科大学大宮医療センター
pp.254-256
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906334
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
アンモニアは,①腸管内での食物由来の蛋白などの窒素化合物の腸内細菌による分解,②腸内細菌のウレアーゼの作用による尿素の分解,③肝臓,腎臓でのグルタミナーゼによるグルタミンの脱アミノ反応により生成される.一方,アンモニアの代謝は,①肝臓での尿素サイクルによる尿素への変換,②筋肉,脳組織,肝臓でのαケトグルタール酸,グルタミン酸への取り込み(グルタミンの産生),③腎臓での水素イオンとの結合によるアンモニア塩としての尿中への排泄により行われる.
アンモニア生成の亢進のみによって血中アンモニアの上昇を呈することは,肝臓のアンモニアを処理する能力が高いため,ほとんど認められない.代謝の低下による血中アンモニアの上昇は,肝機能障害や尿素サイクルの酵素欠損がある場合に生じうるが,実際には肝機能が相当低下しても解毒機能は保たれており,肝疾患で血中アンモニアの上昇が認められるのは通常は門脈一体循環シャントあるいは肝内シャントの存在する場合,または,非常に高度の肝機能障害が存在する場合である.
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